畳マメ知識

畳にカビが発生どうすれば?(対処法など)

2020.05.01 よくあるお問い合わせ畳の消毒(殺虫・除菌・除湿・脱臭処理)

「畳にカビが発生し場合、どうすればいいでしょうか?」

このようなお問い合せを、よくいただきます。
昔ながらのお宅でしたら稲わら畳などの場合は、表面材や土台内部分や裏面などにもカビが発生する場合もございますが、現在主流となっているわらを使用しない建材畳といわれる畳床の場合は、畳全体に発生する事は少なく、ほとんどの場合、表面材の天然い草畳表(たたみおもて)部分に発生する事が多く、頻繁に発生する季節は梅雨時期を含めた湿度が高くなる状態が続く、6月~9月の時期の発生率が多いのですが、近年ではマンションなどの機密性の高いお部屋の場合、冬季の窓側の畳にも結露などによるカビの発生事例も意外と多くありご相談をよくいただきます。
また、畳替えをされたばかり場合ですと、畳表が新しく天然い草が非常に元気で湿気を元気に吸ったり吐いたりする期間(1年~2年位の間)は、お部屋の環境によってはカビが発生・繁殖しやすい場合もございます。

畳のカビ

カビはいきなり発生するものでは無く、通常は目で確認できないくらいの 非常に小さいカビの胞子が空気中に漂っており、畳表に付着し、カビの発生条件が揃う温度、湿度、栄養などを 満たすことで畳表に繁殖します。湿気の多い場所や埃がたまりやすいところ、家具類の下や裏面など手が届かない場所、あまり使用しないお部屋など換気が不十分な場所は畳以外にも壁紙クロスにもカビが発生しやすくなります。
畳のカビは、初期段階ではアオカビが多いのですが、借家空家などで長期間放置したお部屋などでは、更にカビが進行してクロカビ・アカカビなど様々なタイプを繁殖させます。

畳にカビ発生する要因

畳にカビが発生する要因には、「栄養」「水分」「気温」「酸素」などがあります。そのうち、どれか1つでも抑えることができれば、発生を抑制することができると言われています。
特に気温と湿度が密接な関係で気温(室温)が、20℃~30℃で、 相対湿度が60%を超えると、すごい勢いで増え始めます。
空気中に含まれる水分量(飽和蒸気量)を100として、実際に含まれている水分をパーセンテージで表したのが相対湿度(rh)です。
カビは、植物と同じように水分と酸素と栄養があれば、どんどん成長するやっかいなもので、
植物の根と同じ働きをする菌糸をのばし、栄養を吸い上げます。
畳の表面材の天然イ草も植物です。
天然イ草の畳表は、室内の湿気を吸収・放出を自然に行う調湿作用があり、天然の空気清浄機の性質を持つ漆喰や珪藻土などと同じ優れた素材なんですよ。
これは日本の気候からすると快適なのですが、最近の住宅に多い高機密のお家で、呼吸性の無い素材ばかりで作られたお家では湿度が極端に高い状態が継続するお部屋の場合は、湿気をどんどん吸収してしまいカビ発生の要因になります。
新しい天然イ草畳表ほど湿気を吸う力が強く、長年お使いの天然イ草畳表は踏み潰されて内部組織が壊れ湿気を吸う力も年々弱まり湿気を吸わないのでカビの発生も少なる場合もあります。
そのために畳替えをした後にお客様より言われる言葉で、『前は、カビが生えなかったッ‼』の理由も、おわかりいただけますでしょうか。
そんな事もあり新しい畳(畳表)ほどカビが発生・繁殖しやすいという事になります事をご理解いただけましたでしょうか。
また、一戸建て住宅の2階以上の部屋ではカビの発生が少なく、1階の和室の方が発生する場合が多いです。
2階以上は気温は高くなりがちですが、意外と湿気は低い環境が多くカビの発生の相談は少なく、1階は建物床下の地面からの湿気に影響されやすくカビの発生も多いと考えてください。

うえむら畳店主が長年の経験で、カビが多く発生した事例やケースをあげてみます。

  • 共働きなど留守で家中を締め切っている時間が長い場合。
  • 最近の気候の変化。ゲリラ豪雨や洪水や台風などの後、高温になる場合。
  • 建物床下に湿気が溜まりやすい場合。
  • 周りを建物に囲まれて日当たりや風通しが悪い場合。
  • 家具などの荷物が多く、埃が溜まりやすく風通しが悪い場合。
  • マンションやハウスメーカー住宅などコンクリート系の建物で、気密性が高いお家の場合。
  • 畳の上に絨毯や上敷きなど敷物をしている場合。
  • 石油ストーブや加湿器を多用する場合。
  • 1日中窓を開けず、エアコンのみで暮らしてる場合。(換気不足)
  • 畳を日焼けさせないために、雨戸を締め切っている場合。
  • 洗濯物を部屋干しされる事が多い場合。
  • 畳の上に布団敷きっぱなしの場合。

カビの対処方法

初期の軽いカビの発生の場合。(畳表面を触ると毛のようにカビているのがわかる程度)

マスクやビニール手袋などでカビを吸い込まないように注意して、 湿度が高くないお天気のいい日に窓を開け放ち、 まずは室内と畳を乾燥させます。
また、ドライヤーや扇風機を使いカビの表面に風をあて続け、カビを少しでも乾いた状態にして、畳目に沿ってゆっくりと掃除機をかけカビを吸い取っていきます。
次に無水エタノールをスプレー等で、畳表面に噴霧してしばらくおいておきます。
時間をおいてエタノールを布等に含ませ、あまり力をかけず、優しく丁寧にまんべんなく畳表面を拭き取りましょう。
拭き残し部分がありましと、そこから再びカビが発生するのでご注意くださいませ。
1回で取れない場合は、何度か繰り返しエタノール消毒を繰り返す事をおすすめいたします。

カビの発生時、水拭きは禁物です。

黄色や黒色の重度カビの発生の場合

カビがかなり進行した状態ですと、ご自分でエタノール消毒だけではカビを退治する事は困難になります。
なぜなら、畳表面のカビはある程度退治できても、表面材の天然イ草の裏側、
土台部分を接してる部分のカビは畳を敷いた状態では退治することはできません。
こう言った場合は、もちろん費用は発生しますが、当店などの畳の高温加熱乾燥機を設置されている畳専門店にご相談された方が、 適切な対応をお願いできますよ。

※薬剤を使用しない除菌・殺虫・除湿・脱臭処理「畳高温加熱乾燥機こちらをクリックしてご覧ください。

畳高温加熱乾燥機(除菌・殺虫・除湿・脱臭)
畳庫内温度と畳内部加熱温度を設定して高温加熱処理

今後畳にカビが発生しなようにしたい

これは、カビが発生したお客様ならいちばん願いたいところですよね。
当店の場合ですと、カビが再発生をしないようにする場合、畳をお預かりしてまずは加熱乾燥機にて畳全体(内部も)を高温加熱して除菌いたします。
除菌後、畳表面材と、土台部分(畳床)とをはずし、表面材の両面のカビをエタノール等で取り除き、防カビ、抗菌材を天然イ草畳表に噴霧染み込ませ、カビの再発生を抑制します。更に湿度の吸収を気になされ方には、炭シートを畳や床面に設置して湿気を畳に吸い込ませないよう施工いたします。

※畳をカビなどの菌類、ウイルスから守る方法はコチラからご覧ください。

また、 慢性的に湿度が高いお家やお部屋の場合は、 今後の事を考慮して 湿気を吸いやすい天然素材を避け、湿気を吸わない樹脂製など人工素材で作る新畳に替えるのもひとつの方法ですよ。

湿気を吸わない耐水性が高い樹脂製人工素材畳

今後のカビの対策

畳にカビが発生すると言う事は、お家やお部屋がカビが発生しやすい状態になっている事にきづき、温度計や湿度計を設置して普段から気をつけておくことで、その後の発生・繁殖を防止することができます。

ホコリを取り除く大掃除も必要

日々の掃除機等でのお手入れももちろんですが、カビが発生しやすい「梅雨」や「結露の多い冬季」の事前の「大掃除」をして湿気を含みカビが発生しやすい埃を取り除くと、カビの発生もすくなくなります。畳だけでなく、「押入れ」などの収納スペースや「タンス裏面」の綿ホコリを取り除き、風通りをよくしてください。

近年の畳の状況

ここ近年の住宅は、 昔の建物と違い非常に密封性・断熱性に優れています。これらが高いことで、エアコン・暖房生活が快適になっている現代ですが、一方ライフスタイルによっては、別の問題があるのも現実です。畳のダニやカビ問題もそのひとつといえるでしょう。

昔の建物や建築条件は通気性がよく、稲ワラ畳とも相性がよく、ダニやカビの問題は非常に少なく、それなりに快適だったのではないでしょうか。

しかし、ひとつ言える事は、現代の住まいに対応するように、畳もまた素材や原料も進化しています。一般標準が稲ワラ畳床でなく建材畳床(木質ボード主体)になったり、「天然イ草畳表の防カビ仕様」や「天然畳表に近い構造を持った樹脂素材畳表」などいろいろあり、ダニやカビの対策も可能な状況です。

日本の気候・風土、建物構造と建築素材、そしてライフスタイルを調和する畳が今もあります。

最後にお願い…。

上記の内容は、うえむら畳がいままで施工を行いました経験から
アドバイスさせていただいております。
ご自分で対応される場合は、自己責任でお願いいたします。
もちろん、ご相談にも対応いたしますのでお気軽にご相談くださいませ。